2010年6月30日水曜日

アイ・ガット・ラッキー /I Got Lucky


アイ・ガット・ラッキー /I Got Lucky

幸せをよぶ四ツ葉のグローバー
一度だって見つけたことはない
ウサギの足のお守りも幸運の星も
願い事の叶う魔法の木だってありゃしない
でもラッキーだったよ
本当にラッキーだったよ、君に出会えてね

肩の上に虹もかかってないし
ドアに馬蹄のお守りもない
でも強く抱きしめてくれる君がいれば
これ以上のことはない
そう、ラッキーだったよ
本当にラッキーだったよ、
君に出会えてね

*いつもおまじないをしてるんだ
やっと見つけた愛がどこかへ行きませんようにってね

**だから愛してるって言っておくれ
急いで式の日どりも決めて
そしたらこの幸運が
逃げてしまうこともないから
そう、ラッキーだったよ
本当にラッキーだったよ、
君に出会えてね

* くり返し
** くり返し
そう、ラッキーだったよ
本当にラッキーだったよ、
君に出会えてね

(川越 由佳 氏:翻訳)





君を見つけて、ボクは幸せを手に入れた♪
と、幸福を感じてハミングする。

エルヴィスが好きだったのは、腰を振るからだ。
右に左に、幸福がスイングする。
<アイ・ガット・ラッキー>は映画「恋のKOパンチ」の挿入歌。

<アイ・ガット・ラッキー>とは、よく言ったものだ。
そうだ、ボクは幸福だった。
エルヴィスが四ツ葉のグローバーだった。

悲しいことや嫌なことが、ゆれる腰の力で吹っ飛んだものだ。

 だから「エルヴィス・オン・ステージ」で日本中が過熱しても、本気でヒートしなかった。
 本当はそんな人多かったと思うよ。これで手を打っておこうか。そう思った人が多かったと思うよ。
 ろくでもない映画よりは、「エルヴィス・オン・ステージ」のエルヴィスは断然凄かったからね。でもね、何かが違っていた。腰ふらなくなったからね。そもそもエルヴィス映画が、ろくでもない映画になってしまったのは腰ふらなくなったからだ。<心のとどかぬラブレター>とか、<ボサノヴァ・ベビー>とか最高にふってたでしょう。<心のとどかぬラブレター>なんか幸福の代名詞みたいな歌と腰フりだよ。
 ろくでもない映画を見応えのあるものにしていたのは腰ふりだったわけ。それさえなくなったら、そらもう ”本当にラッキーだったよ、君に出会えてね”なんていってられなくなったんだから。

2010年5月1日土曜日

ブルー・ハワイ

 
ブルー・ハワイ

 20世紀の最強のアーティストが地球規模の雄大な「平和」を映画とレコードに包んで贈り物にした。それが『ブルー・ハワイ』だ。

『ブルー・ハワイ』はエルヴィス・プレスリー8作目に出演映画として、フィルムとレコードで供給された。1961年3月22日にハリウッド・レディオ・レコーダーズでサントラ・セッションとして録音。映画は1961年11月22日全米で公開された。

 エルヴィス・プレスリーの<ブルー・ハワイ>あるいは<ノー・モア>に惹かれる人の多くは、この涼しいイントロでグラッと和んでしまっているのではないだろうか?<ブルー・ハワイ>の恐るべき”イントロとNight and”強力タッグのパワーが果たした役割は大きい。このイントロはロックもブルースも関係ない。

ハワイまるごと濃縮した出合い頭の一撃で後はメロメロ、気がついたらアルバム一枚通しで聴いてしまっている。途中に少し気を取り戻しそうになるものの、すかさずうっとりするような歌声とメロディー、伴奏が出てきて、また魔法にかかったように心はすっかり時空を超えてハワイでエルヴィスと面会だ。

映画『ブルー・ハワイ』のタイトルバックに使われた<ブルー・ハワイ>のオリジナルはエルヴィスの大先輩格、ビング・クロスビーの1937年の映画『ワイキキの結婚』の主題歌として、ビング・クロスビー自身が歌って大ヒットしたもので「ハワイアン」ではない。その後シナトラはじめ著名な音楽家がカヴァーしているが、エルヴィス・バージョンは先輩たちをまるごと海の藻くずにしてしまったほどの魅力的な出来栄になっていると言っても文句ないだろう。

ビング・クロスビーはフランク・シナトラよりも前にアメリカの”アイドル”だった人物。しかも映画でもアカデミー賞を受賞している大物である。ビング・クロスビー自身が「エルヴィスの創造したものはすでに歴史の一部だ。なんと素晴らしいものを残していってくれたのだろう」と1997月8月16日に温かいコメントしている。

 想像するには、日本でエルヴィス・プレスリーの人気を決定づけたのは、「ブルー・ハワイ」だろう。もちろん、それまでも人気はあったが、多くの人は近寄りがたい存在であったのではないのか。それが一気に親しみやすい存在に変化したのは、美しいハワイの風景をバックに歌われる爽やかな歌の数々。それは日本に限った話ではなく、本国アメリカでも同じだったと

映画公開に合わせて1961年10月にリリースされたアルバム『ブルー・ハワイ』はアルバムチャート20週でトップを続けて新記録を達成している。クリスマス、正月にかけて全米を常夏ムードにしていたのだ。

吹雪の中を”夜とキミと、そしてブルー・ハワイ~”と口ずさみながら歩いていたといことか。さすが、これぞ、ヤンキー魂だ。やっぱりカラダは鍛えておかないとね。1961年当時は、クリスマスにはビング・クロスビーの<ホワイト・クリスマス>が巷を占領するのが定番だったはずだ。エルヴィスはクロスビー先輩には恨みはないものの、ダブル・パンチでKOしていたということになる。

本国ではシングル・カットされなかったが、さすがビクターは目のつけどころが良かった。サントラからスタンダードである<ノー・モア(ラ・パロマ)>とともにピックアップしてリリースしてしまった。そもそも、このアルバムは全曲シングルにしてもおかしくない出来栄だったのだ。

1961年のハワイ。
日本人のとってハワイは夢の島だった。一方はエルヴィスは海に沈んだアリゾナの前でコンサート開いている。『ブルー・ハワイ』は戦後でないことを知らせた映画だった。

2010年4月18日日曜日

この愛をいつまでも~[歌の贈りもの]



この愛をいつまでも~[歌の贈りもの]

「歌の贈りもの」で、聴けるその歌声のやさしさと甘さ、情感の豊かさは、結局は最も愛されるエルヴィスになったとも思う。
ここには強烈なインパクトはない。しかしこの上質なサウンド(ボイス)こそ、最近話題になるバラードにこそエルヴィス・プレスリーの真価があると見直し論の核になる部分だ。女性のハートをきっちりとらえ、「私のエルヴィス」と感じさせるのではないかと思うぐらいに、デリカシーに富んだ声とメロディーがぎっしり詰まって いる。『歌の贈りもの』とはうまいタイトル!

1 There's Always Me 2:32/ゼアズ・オールウェイズ・ウィズ・ミー
2 Give Me the Right 2:41/ギブ・ミー・ザ・ライト
3 It's a Sin 2:31/イッツ・ア・シン
4 Sentimental Me 2:03/センチメンタル・ミー
5 Starting Today 2:15/スターティング・トゥディ
6 Gently 2:21/ジェントリー
7 I'm Coming Home 1:47/アイム・カミングホーム
8 In Your Arms 1:54/あなたの腕で
9 Put The Blame On Me 2:05/悪いのは僕だ
                  『いかすぜ!この恋』挿入歌
10 Judy 2:11/ジュディ
11 I Want You With Me 1:35/アイ・ウォント・ウィズ・ミー
12 I Slipped, I Stumbled I Fell /
アイ・スリップド・アイ・スタンブルド・アイ・フィール
                  『嵐の季節』挿入歌


エルヴィス・プレスリーは天下無敵------。さすがだ。どの曲もエルヴィスの声と歌のうまさで輝いている。幼い頃から母親をケアしてきた包容力がにじみ出ているアルバム。結局はリスナーのこころにそっと忍び込む。結局、みんながそれに甘えてしまったという気がする。

1.There's Always Meはエルヴィスのオリジナル・バラード。ピアノのイントロで始まる美しい曲。終始ピアノとバックコーラスが控えめに、からみながらエルヴィスの声を引き立てる。エルヴィスの真の魅力を聴くには<ハートブレイク・ホテル>に代表されるようにほとんどアカベラと言っていい作品がエルヴィスの美しい声にうってつけ。1967年<この愛をいつまでも>のタイトルでリリース、B面にもこの美しいアルバム「歌の贈りもの」から <Judy /ジュディ>をピックアップしている。

<ゼアズ・オールウェイズ・ミー>よりも<この愛をいつまでも>の方がなじみがよく、しっくりする。時間が短く、タイトルも楽曲もインパクトがないようだが、バラードらしいバラードのいい歌だ。


夜の帳が降りて
だれかと電話で
お喋りしたい時
いつも僕がいる

君が恋に破れて
友達が恋しい時
たとえ恋人でなくとも
いつも僕がいる

ちっとも構わないさ
脇役でいることなど
いつか、僕が必要になる

その日がきたら
この腕の中で教えてあげる
出会いと別れをくり返した君に
僕のこの愛は
永遠だと

君の回りを見渡せば
いつも僕がいる


詩がいい、エルヴィス特異の一歩引いてそっと見守る恋歌。代表的なバラードの大傑作<愛しているのに>や、エルヴィスが70年代にカヴァーした<明日に架ける橋>につながる”この心いつまでも”。聴く人はいまでもその心の哭く。

<この愛をいつまでも/ゼアズ・オールウェイズ・ミー>のいいのは、ゼアズ・オールウェイズ・ミー、いつでもそばにいる心。

♪ 君が恋に破れて
  友達が恋しい時
  たとえ恋人でなくとも
  いつも僕がいる  ♪


ここにあるのは我慢ではない。励ましだ。素朴な励ましに、エルヴィスの声が似合う。それが胸を打つ。よくおもしろい人が好き」と女性はいう。でもその本当は、いっしょに笑ってくれる人のこと、別におもしろいことをいうことでない、一緒に泣き喜び、人生を分かち合ってくれる人。

その向こうにはいつも励ましがある。励ましこと愛の本体だ。


THERE'S ALWAYS ME

When the evening shadows fall
And you're wondering who to call
For a little company
There's always me

If your great romance should end
And you're lonesome for a friend
Darling, you need never me
There's always me

I don't seem to mind somehow
Playing second fiddle now
Someday you'll want me, dear
And when that day is here

Within my arms you'll come to know
Other loves may came and go
But my love for you will be
Eternally

Look around and you will see
There's always me



2 Give Me the Right もオリジナルのブルース。荒々しさはなく、すごく丁寧に歌っている。

3 It's a Sinは「歌の贈りもの」でも光っている少しおもしろい曲。コミックという意味ではなく、エルヴィスなオリジナリティがあるという意味。それも そのはず1947年にヒットチャートNO.1になったカントリー。It's a Sinと歌うフレーズがあの人のように忘れられなくなる。

4 Sentimental Me は1950年にナンバーワンになったバラードで、グレン・ミラーもカヴァーしていたというもの。♪Sentimental Me♪と歌うリズム感がとってもきれい。

5 Starting Today はThere's Always Meを作曲したドン・ロバートソンがやはりエルヴィスのために作った曲。これもピアノが効果的な美しい曲。

6 Gentlyは極めてフォーキーな曲。ピーター・ポール&マリーのまん中に立って歌っているような錯角するくらいに決まっている。

7 I'm Coming Home はエルヴィスの声が弾んで快調なロック。何度聴いても飽きない傑作だ。チャーリー・リッチが、ロカビリーシンガーであるカール・マンのために作ったロックナンバーで<ジャンバラヤ>などにつながるツイストナンバー風がうれしい。実はこのような曲がエルヴィスを狂わせていったのではないのかと思う。ロックンロールであるようで、なさそうな、サウンドトラックで使用された数々の「ロック」と同じような。戻っておいで、グレイスランドに。

8 In Your Arms<あなたの腕で>はサックスが泣かせる音を出しているロック。

9 Put The Blame On Me <悪いのは僕だ>は後に映画『いかすぜ!この恋』で挿入する楽曲を募集した際、ファン投票で選ばれた曲

10 Judyは とてもホンキー・トンクなピアノが60年代風の軽快さで、エルヴィスと絶妙のバランス。口ずさみやすいメロディーはシングルカットされたのも当然。それがジュディでも、アンナでも、エリザベスでも、エルヴィスが歌えば悪女でない気がする。

11 I Want You With Meはいかにもエルヴィスのゴスペル風なロックで、このアルバムでは唯一ブラックなムード。♪I Want You With Meのフレーズが抜群のフィーリングだ。

12 I Slipped, I Stumbled I Fell は、NHKがよくオン・エアーしていた主演映画『嵐の季節』の挿入歌。映画の雰囲気とは合わないような軽快な曲。ピアノもカッコいい。





愛ピのエルヴィス・プレスリー コレクション

日本全国男前プロジェクト

ゲンキポリタンのじぶんぢから再生プロジェクト